【書籍レビュー】帰国子女のマチベンが「高速マスター 法律英単語2100 法律・基礎編」を読んでみた件

 

Good Morning! Good Afternoon! Or maybe Good Evening?
実は帰国子女だった,べんごちのけーぶいえぬです。
帰国子女なので,ノー勉でTOEIC900点超えますし,英語で日常会話するなんて余裕です。まぁ自慢ですねごめんなさい😛

でも,それだけです。
海外にいたのは小学生の時までなので,通訳ができるほど英語に精通しているわけではありません。
また,海外のロースクールに留学したこともなく,したがってJ.D.もLL.M.も取得していません。
つまり,僕って『日本語で行うのと同レベルで英語でもべんごちとして仕事ができる』レベルではないんですよねぇ正直言って……

なのに,「帰国子女だから」という理由で,マチベン事務所所属なので数はそれほど多くないものの,英語がかかわる案件は必ずワイ職に回ってきます。

例えば英文契約書レビュー。
英文契約書?全然読める。
修正点?日本語なら全然思いつく。
それを英語に直すなら?…………う~~~ん適切な英語が思いつかん………

例えば外国人の方が依頼者の事件。
打合せで「依頼するとして,いくら払えばいいんだ?」と聞かれたので,報酬基準を説明しようとするも,『あれ,着手金と報酬金と実費って,英語でなんて言えば良いんだ……?全部Feeでええのんか!?』となりにけり😰

例えば英語圏出身の外国人被疑者との接見。
ワイ職,英語話せるから通訳費用かからないやんけ~♪と勢い勇んで接見に行くも,勾留に関する英単語が全く出てこず,"Because of the Civil Procedure Law, you will have to stay here for at least 10 days, and if you wish to get outta here, you have to shake hands and pay money to him."とかいう大学生でもできるような文章しか出て来ず,めっちゃたどだとしい接見となてり😱

こんな感じで『英語の壁』にぶつかりながらも,その都度頑張って調べて乗り越えてきましたが,その都度思っていたのは,

「法律家が良く使う英単語がシンプルにまとまった本,ないかなぁ……」

という都合の良い思いでした。
そんな僕の都合の良い考えが,まさか現実になるとは………


本屋で見た瞬間,秒で買ったったwwwwww

以下,「帰国子女だけど日本語で行うのと同程度の仕事を英語でもできると断言し辛い」マチベンのワイ職が,運命的な出会いをしたこの本のレビューをしてみます。
お付き合いのほどよろしくです。

1.この本の特徴

(1) 2105単語を4つにランク分け

この本の表紙には,「最低限の語彙2100語を高速マスター」と書いてありますが,実際に収録されている単語は2105です(こういうところ,どっかの百選と歩調を合わせなくていいのにw)

本書では,それら2105単語がRANK 1~RANK 4に分けられて収録されています。
ランク分けの基準は書かれていませんが,おそらく筆者の経験上良く使われる単語順にランク分けされているように感じられます。
例えば,RANK 1では
    affixing the name and seal(記名押印)
    inheritance(相続)
    object of claim(請求の趣旨)
など,一般民事でも使われる単語が収録される一方,RANK 4では
    legal apprentice(司法修習生)
    automatic public transmission server(自動公衆送信装置)
    aircraft and railway accidents investigation commission(航空・鉄道事故調査委員会)
などの「お前一体全体どういうところでそんな単語使うんだよ( ゚Д゚)」という単語があったりします(著者のご経験に照らすといずれも実際に使われる単語なんでしょうけど)。

(2) 1英単語につきだいたい1日本語訳,だから本が薄い

本書に収録されている2105語に対応する日本語訳は,基本的に1つだけです(complaint:⑴訴状⑵苦情 のように1単語に訳語が複数当てられているものもあります)。
なお,日本語訳は,市販の英単語帳とは異なり,青字でプリントされています。

そして,本書を「何度も何度もグルグル回す」ためシンプルさを追求したからか,市販の英単語帳には必ずといって良いほど記載されている,発音記号や例文の類は一切カットされています。

そんな各英単語・日本語訳が,見開き両ページにズラりと並べられているのです。

本を開くと黒文字の英単語と青文字の日本語訳のみ。

故に,全体として本が薄い
単語だけで128頁しかない!
持ち運びに便利です。

まさにシンプルisベストを地で行くかのような仕上がりですね。

(3) 充実の索引

こういうシンプルにまとまった薄い本って,どうしても「痒い所に手が届」かないことが多いんですが,この本は日本語索引・英語索引の両方が付いてきます

辞書のようにも使える単語帳,実に実務向きですよねェ……

2.この本でどこまでできる?

上述のとおり,ワイ職は「いちマチベン」に過ぎず,国際取引に関与するようなイケイケ企業法務ロイヤーではありませんが,そんな「いちマチベン」にとってもこの本の内容は有益だといえるのでしょうか。

例えば,法律相談会で米国籍のジョン・ドゥ(John Doe)さんから「知人の日本人甲野太郎から金返せと訴えられた!」という相談があり,被告訴訟代理人として受任することとなった,というケースを想定してみましょう。
ジョン氏から受任することとなった貴職は,第1回弁論が明日と差し迫っていたため,取り急ぎ三行答弁書を出すこととしましたが,ジョン氏から「その書面は何が書いてある?」と問われてしまいました。

この本を使えば,三行答弁書をそれなりに英訳できるかもしれません;


網掛けになっている箇所が,本書に収録された単語で,いずれもRANK 1~RANK 2のものばかりです。
一般民事で良く使われる単語が,RANK 1~2と良く使われる単語として収録されていることが分かりますね。

……しっかし我ながら無茶ある訳だなぁ~,と思わなくはないですが,所詮日本でしか法専門家としての教育を受けていないただの帰国子女に過ぎない身ですので悪しからず(笑)

3.この本のPros and Cons

(1) Pros

前項で見てきたとおり,この本に収録されている単語は一般民事でも良く使われる単語も多く,たまにしか英語案件をやらないようなマチベンの先生方にとっても有用だと思います。

また,detention(拘禁・勾留),appeal from/against a ruling(抗告),institution of prosecution(起訴)など,刑事弁護にも役立ちそうな単語も収録されていますので,もしかしたら将来的には(英語に限れば)通訳人なく接見できるようになるかもしれませんねこれでクソテラスと通訳料であれこれする手間からおさらばだぜ

英単語を覚える,という観点から言うと,「何度も何度もグルグル回して記憶する」という勉強法をしてきた方であれば,1単語につき基本的に1訳語しかないので,ガンガン回せる教材だと思います。
Foreign CountryとかPolice Officerみたいな「さすがにそれは知ってるwww」みたいな単語もあるので,実際に新たに覚えなければならない単語数は2000を下回るでしょうから,尚更ガンガン回せるでしょう。

あと,本が薄くて持ち運びやすい,というのも大きな利点ですね。

個人的には,巻末索引がアホみたいに便利です!
「そういえばアレなんて言うんだっけ?」となったとき,とりあえず索引引いとけば何とかなるという安心感は大きいですし,「この本に載っていないということは頻繁には使われないような難しい単語・言い回しなのかな」とアタリを付けることもできるようになりました。

(2) Cons

逆に,この本は「何度も何度もグルグル回す」勉強法を使ってこなかった人には向かないと思います。
例えば,「速読英単語」みたいな文章の中で英語を覚える勉強の仕方をされてきた方とかは,この本は向かないように思います(逆に「ターゲット1900」みたいな単語帳を何度も何度も繰り返して覚えたような方には向いてるかと)。

あと,日本語訳が青字なので,赤シートで隠して覚えるというやり方はできません。
文字を隠すためのシートも付いてきません。
そのため,この単語帳を問題集のように使って覚えるにはもう一工夫必要になります

また,発音記号が書かれていないので,音読で記憶するタイプの人は困るかもしれません。
もしかしたら「この単語どうやって読むんだ?」となって「グルグル回す」手が止まってしまうかもしれません。
とはいえ,「どう読めば分からないなら辞書引けや!」と言えばそれまでなんですけどね。

収録されている単語ですが,マチベン業務との兼ね合いで言うとやや物足りない面もありますね。
例えば「着手金」「報酬金」「弁護士報酬基準」のような初回相談で説明すべき単語や,「勾留質問」「勾留延長」「示談」のような刑弁業務で頻出の単語は収録されていません(※まぁこれらを『法律・基礎編』と銘打った本書に収録すべきかと言われると確かに分からなくはないですが…)。

4.Q:結局,この本はどこまで役に立つと思いますか?

A:こちとら超ドメ案件ばっかりやってるマチベンだぞ!そんなすぐ分かるわけないやん(涙)


LL.M.取得が受験資格要件じゃない(らしい)California Bar,この本を座右に置いて受けてみようかしらね……😇😇😇

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