【'20 J1第25~27節・試合感想】残すモノ,残さないモノ,積み上げていくということ。

\祝☆2連勝/


いや~~~,勝つって嬉しいですね!!!


ただ,勝って兜の……じゃないが,少しここで立ち止まって考えてみたい。


モフ将を諦め,平岡さんに後を託してから2連勝。
これは平岡さんが名将ということなのか?
ただの解任ブーストなのか?
それともモフ将が平均以下の愚将だっただけなのか?


モフ将最後の試合となった第25節レイソル戦と,平岡さんが采配した第26・27節を比較して,エスパルスが積み上げようとするモノ,切らざるを得なかったモノを見ていきたいと思う。


積み上げポイント①:選手配置は大した変化は無い

平岡さん自身もインタビューで明確に述べている(DAZNインタビュー動画3:30~)ように,エスパルスはフォーメーションを4-4-2にしました。

が,


実はモフ将も守備時は4-4-2気味でした。

というか,モフ将も平岡さんも,攻撃時と守備時の選手配置はほぼ同じです。

3バック時代の守備時の謎5-3-2のことは忘れよう,いいね???

平岡さんも,攻撃時は後ろが3バックになりSBがポジションを上げます。
エウソンは普段から勝手に(笑)上がりますが,左の金井も(何ならソッコも)ガンガン上がります。
この辺はモフ将の思想を受け継いでいる場面ですね。


積み上げポイント②:中央から細かいパスでの崩し

モフ将の時から,中央に人数をかけていることを利用して,狭いエリアをパスで中央突破しようとするシーンが良く見受けられました。
ボランチまたはカルが楔の縦パスを当ててワンツーで抜け出そうとするシーンとか。

そういうシーンは平岡さんになってからも継続されています。

例えば神戸戦,先制点の起点となるCKをもぎ取ったごっちゃんのシュートは,キャプテン竹内とのパス交換からフリーになった場面でした。

イニエスタ含め3人吊り出してスペース作り出したキャプテンのプレーが光りますね!

例えばC大阪戦,攻撃としては奏功しませんでしたが,キャプテン竹内とエウソンの狭いエリアでのワンツーも形としてキレイな崩しでした。

バイタルでこういうプレーされると相手DFも嫌だよねぇ~

おそらくモフ将は,大外に質で殴れる個を置いて相手SBとCBを間延びさせ,それにより生まれたスペースを使って中央から侵入する,という絵を描いていたんだと思います。
だから,中央から細かいパスを繋いで崩す,というパターンを選手たちに植え付けていたのでしょう。
モフ将が植え付けた中央の崩しを,平岡体制でも継承したと言えるでしょう。

まぁ,結局,ウチにはオーバメヤンもサラーもマネもラヒーム・スターリングもジェイドン・サンチョもいないので,サイドから質で殴れないから相手SBをピン止めできず,結局中央突破が奏功した場面が少なかったですねぇ…

変更ポイント①:現実的な4-4-2ゾーンDF

モフ将は守備時に4-4-2気味の陣形を取りつつ,守備の仕方はマンツーマン寄りのゾーンDFでした。
相手ボールホルダーを中心として,1人がボールホルダーにプレッシャーをかけ,周りの選手がそのボールホルダーの出しどころを塞ぐように動きます。
これは「ボールホルダーから素早くボールを奪って攻撃に繋げる」ことから逆算されたものと言えるでしょう。

この守備戦術の弱点は「プレス避けられたら一転してピンチ」になることです。


例えばこのシーン,慶太が釣られた結果,慶太の裏に出されてしまったものの,ヴァウドのカバーで事なきを得ました。
確かに,ボールを奪えれば直ちにチャンスになりますが,ある意味「敵にスペースを与える」守備ではあるので,エスパルスの各ライン間にパス放り込まれたらすぐピンチになります。
そして次第に押し込まれ,結果失点!という場面が数多く見られました(レイソル戦は良く耐えたよ……👏)。


翻って平岡清水。


キレイな4-4ブロック。
人よりもスペースを埋めるポジショニング。
2トップは縦に入れさせないようカバーシャドウ。
ボランチと両SMFもボールをサイドに誘導すべく中を締める。
そしてクロス上げさせてボール回収。


教科書通りの4-4-2ゾーンDFですね!!!!


守備の立て直しという課題に対し鉄板の解決策を導入した平岡さん。
おかげで神戸戦もC大阪戦も守備が安定しましたが,代わりにモフ将が掲げた「攻撃を意識した守備」は消失しました。

これは現実路線を取る以上仕方ないでしょうね。

変更ポイント②:「ポジションからタスクへ」の放棄

これ,個人的には変えて良かったと思ってるポイントなんですけど,平岡清水では,選手のポジショニングを重視します。

ペップ・グアルディオラの革命により,現代サッカーにおいては「ポジションからタスクへ」という戦術パラダイムシフトが起きていると言われています(バルディ・片野『モダンサッカーの教科書』148頁以下参照)。
監督が設定したゲームモデルがあって,そのゲームモデルの実現のため各選手にタスクが振られる。そのタスクはポジションに縛られるものではなく,したがって各選手には振られたタスクの実現のための動きが要求される。
よって,ポジショニングは流動的になり,交代選手も与えられたタスクを表現することになる。偽SBもその過程で発明された道具の1つです。
モフ将も,常々「フォーメーションは関係ない,自分たちのサッカーをするだけだ」みたいなことを言い続けていましたね。


その結果エスパルスでどうなったかというと…


前線にいて"怖さ"を与え続けてほしいカルリーニョスが,ボール貰いにガンガン2列目まで下がってきました(´・ω・`)

今のウチの前線,カルしか質で殴れないんですがそれは(´・ω・`)
そのカルが降りてきていい攻撃できるはずないんですがそれは(´・ω・`)

湘南戦はカルの代わりにドゥトラが前で違いを作ってくれましたが,謎5-3-2守備で押し込まれ続けたためドゥトラにボールが入らず,入っても周りのサポートいなくて\(^o^)/オワタ


翻って平岡清水。


平岡さんも「ビルドアップのところで立ち位置を明確にしすぎた。」と述懐してましたが,攻守の両面でポジションを明確に固定してきました。
守備面では2トップが2列目に降りてくることはなくなり,「カル降りて来すぎ問題」は改善されました。
そのおかげか,C大阪戦は前半から相手DFラインの裏へのパスが良く出ていたように思います。

それと,『ゲームモデル→タスク』という思考過程を取らなくなったため,選手交代の効果が変わりました。
平岡さんの交代策って,人だけ見ればモフ将と変わりないんですよね。控え選手の選考も(今のところ)モフ将と変わりません。
では何が違うかというと,交代選手に取らせたいポジショニング,やらせたいプレーがあるか否か。

例えば,C大阪戦で平岡さんは後半開始早々からごっちゃんに替えて唯人を投入しますが,そのまま2トップにするのではなく1.5列目に置きました。4-4-2の派生としての4-2-3-1ですね。
これは,前半の問題点を踏まえ,唯人・慶太・健太の3人に中央でボールキープさせることでパスの出しどころを増やそうという意図があったのだと思われます。

これがモフ将だと,唯人を交代で入れたとしても,交代前の選手と同じタスク(に唯人の特色であるボールキープを足すこと)を求めていたのだと思います。


良く言えばオーソドックス,悪く言えば時代遅れ(※欧州サッカー比)。
そんな平岡清水の現実路線が色濃く出た2試合だったかと思います。

残り7節の見どころ

自分のゲームモデルの実現を貫徹しようとしたモフ将を愚将と言うことはできません。
他方で,現実的な4-4-2ゾーンDFを組んだ平岡さんを名将と言うこともできません。

ただひとつ言えることは,モフ将が選手に植え付けた"変革の種"を平岡さんが継承しようとしていること。
これは確かでしょう。

ただ,我々は忘れてはいけません。

毎年のように『積み上げがない』と言われ続けていることを。

去年『現実路線を取った結果,最初は良かったけど,結局前任者の積み上げたもの全部ぶっ壊したクッッッッッッッッソつまらないサッカーになり残留争いに巻き込まれた』ことを。


今シーズンもあと7節しかありません。
正直,来年も平岡さんが続投するか分かりませんが,せっかくモフ将が"変革の種"を植え付けてくれたんだ。
その"種"は我々を魅了するに余りあるものだったのは開幕戦が証明しているじゃないか。


今度こそ,積み上げよう。
残り7節,どう積み上げていくのかこそが,見どころになるだろう。

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